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2023.11.07

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【メッキ技能士直伝】黒色無電解ニッケルメッキ、黒色クロムメッキ、黒色アルマイトなど各種黒色メッキの特徴をご紹介

黒色メッキ皮膜は、反射防止性、光選択吸収性、熱伝導性などの特性を持つことからカメラ、分析器などの光学機器、光通信の伝送経路、太陽熱集熱器のコネクター、装飾品など広く利用されています。

広く利用されている黒色のメッキ皮膜には数多くの種類があります。

本記事では黒色メッキの特性並びに各種黒色メッキの特徴などをご紹介します。

1.黒色メッキの特性

国語辞典でメッキの用途を「卑金属に貴金属を被覆し、美しく見せたり、腐食や摩耗を防ぐために施す。」などと記載しています。

黒色メッキの用途も装飾性、防食性、耐摩耗性も求められますが、黒色の皮膜であるが故の反射防止性など総合的に求められています。


装飾性、防食性、耐摩耗性、反射防止性について説明後にそれぞれのメッキ皮膜についての解説を行います。

1.1 装飾性

メッキの装飾性とは、見た目の美しさのために行われるメッキのことです。
装飾メッキは、自動車の内外装品やアクセサリーなどの高級感が要求される製品に施される場合が多く、金属ならではの光沢が高級感を演出する目的で利用されます。


黒色メッキの場合ですと金属光沢感を残しつつ黒色にすることで、他の色では表現できなかったラグジュアリーな感じを演出したりする目的で利用されます。

1.2 防食性

メッキの防食性とは、金属基材上に腐食しにくい金属を成膜することで、耐食性を向上させるめっき技術のことです。防食メッキは、防錆メッキとも呼ばれます。


大気中には湿気、酸化雰囲気、硫化雰囲気、塩分などがあり、程度の差はありますが、これらの腐食環境に晒されることになります。 これらから製品や部品を守る性能が防食性です。

1.3 耐摩耗性

メッキの耐摩耗性とは、摩擦や研磨などの機械的作用によって、材料が表面から消耗していくことを防止するものです。

耐摩耗性を向上させる方法には、表面硬度をあげる方法と摩擦係数を下げる方法があります。

1.4 反射防止

反射防止とは、光の反射を防止し、まぶしさを防ぐ(防眩性)特性で、カメラや光学機械などの光路や外装、自動車の内外装品に採用されています。

2. 黒色メッキの種類

2.1 黒色無電解ニッケルメッキ

黒色無電解ニッケルメッキは、無電解ニッケルメッキ皮膜のデンドライト構造や、針状構造に析出することで可視光の反射が無くなることで黒く見える効果を利用した方法や、無電解ニッケルメッキ後に酸化処理する事でニッケルの酸化物や硫化物質など黒い物質を形成することで黒色皮膜が得られる方法があります。


デンドライト構造や、針状構造に析出される黒色無電解ニッケルメッキも無電解ニッケルメッキ後に酸化処理で黒色皮膜が得られる方法もどちらも化学反応を利用したメッキ方法ですので、皮膜の均一性や電気メッキでは着き回りにくい形状の製品でも処理が可能です。

2.2 黒色ニッケルメッキ

黒色ニッケルメッキは、装飾向けのめっきで、金属光沢感のある黒色皮膜が得られます。黒ニッケルメッキは、ガンブラックやガンメタリックとも呼ばれます。


黒ニッケルメッキにはスズとニッケルの合金メッキ、ニッケルと亜鉛の合金メッキ、スズ、ニッケル、銅の3元合金メッキなどがあります。

全て外部電源を利用したメッキ方法ですので均一性の面では黒色無電解ニッケルには敵いませんが、全体的に薄膜で形成する事が可能です。

2.3 黒色クロムメッキ

黒クロムメッキ皮膜は、クロムのメッキ皮膜ではあるものの、工業用のクロムメッキ(硬質クロムメッキ)のように皮膜が金属クロムのみの皮膜と異なります。


黒色クロムメッキの皮膜は金属クロムと三価クロムの複合皮膜であることから、工業用のクロムメッキに比べ皮膜硬度の低さが黒色クロムメッキのデメリットになります。


皮膜硬度は硬質クロムメッキに比べものにならない皮膜ですが、他にない艶消しの漆黒調の皮膜が特徴です。この漆黒調の特徴から、低反射性・熱吸収性・導電性・耐食性などを目的としてカメラの部品や車の部品、機械装置の部品などに用いられています。

2.4 黒色アルマイト

黒アルマイトとは、アルマイト処理を施したアルミニウムの表面を染料で黒く着色した、カラーアルマイトです。ですので、カラー以外の特性はアルマイト同様で、酸化アルミニウムを主体とした、腐食に強く、硬い皮膜が形成されます。


他のメッキとの大きな違いはなんと言っても素材を侵食しながら成膜する点です。

例えば黒色アルマイトの膜厚が20μmであっても、外径を測定すると増加量は片側10μmなどと器差が生じます。これは素材を侵食しながら成長するアルマイト特有の現象です。

2.5 亜鉛メッキ(黒色クロメート)

亜鉛メッキの黒色クロメート処理は、亜鉛めっき後の化成処理皮膜(クロメート)の一種です。

このクロメート処理に大きく分けて2種類、3価クロムのクロメート処理と6価クロムのクロメート処理に分けられています。RoHS指令に抵触しないクロメートは3価のクロメート処理です。


クロメート処理の色調には分類があり、無色光沢(ユニクロ)、有色:黄色(クロメート)、黒色があり、3価・6価共にこれらの色を選ぶ事が可能です。

色の違いだけでなく、耐食性にも違いがあります。

2.6 ルテニウムメッキ(黒)

ルテニウムは燃料電池の環境触媒、リードリレー用スイッチなどに利用されています。

工業用途では磁性材として利用されており、HDDの記録層にルテニウムを挟むことで、熱による記録の不安定性を抑えることが可能です。


こんなルテニウムメッキですが、色が2種類あり白と黒があります。

ルテニウムメッキの黒の用途としては装飾目的で利用されております。

2.7 黒染め

黒染め処理とは、鉄鋼材を140~150℃のアルカリ溶液で処理する事で、黒錆を生成する方法です。黒錆の成分は四酸化三鉄(Fe3O4)で、黒錆を意図的に生成させる事で鉄鋼材を腐食から保護します。


黒染め処理は一時防性として利用される事が多く、そのままで使用される事は少ないのですが、鉄鋼の防錆で安価に処理したい場合に有効です。

2.8 イオンプレーティング(黒)

イオンプレーティングはPVDの一種で、真空で硬質な皮膜を物理的に蒸着させる技術です。

PVDとは(Physical Vapor Deposition)物理蒸着とも呼ばれています。

PVDは「真空蒸着」「スパッタリング」「イオンプレーティング」に大別されています。


今回はイオンプレーティングをご紹介します。

イオンプレーティングは真空蒸着とプラズマの併合技術です。そのため、真空蒸着と仕組みが似ています。真空蒸着法では金属材料を加熱し蒸発させ、そのまま基板に堆積させますが、イオンプレーティングでは蒸発した粒子をプラズマ中でイオン化し、高いエネルギー持ったイオンが基板に堆積されます。


イオンプレーティングの黒色の皮膜としてTiCN、TiALNがあります。

TiCN(Titanium Carbon Nitride)は、チタニウムカーボンナイトライドの略称で、高硬質で耐摩耗性に優れたTiNに炭素を添加し低摩擦特性を加えた硬質複合薄膜です。


TiALN(Titanium Aluminium Nitride)は、チタニウムアルミニウムナイトライドの略称で、チタンとアルミの合金を窒化した硬質複合薄膜です。

2.9 DLC

DLCは、Diamond-Like Carbon(ダイヤモンド・ライク・カーボン)の略称で、ダイヤモンドとグラファイト(黒鉛)を併せ持つ炭素を主成分とした物質で作られた薄膜の総称です。


外観は黒色ですが、薄膜であるため下地の艶の状態を反映します。

他の黒色メッキ同様、下地に光沢があると黒く見えますが、艶を消した下地の場合、

灰色に近い黒色となります。


DLCの特性

  1. 高硬度(耐摩耗性に優れる)
  2. 低摩擦係数(摺動性に優れる)
  3. 低相手攻撃性(摩擦時に相手材を摩耗・損傷させない)
  4. 化学的不活性(摩擦時に相手材との化学反応が起こりにくい)
  5. 耐食性(腐食性雰囲気中でも侵されない)

6.まとめ

黒色メッキは装飾性、防食性、耐磨耗性、反射防止性の特性を持ち、様々な用途に応じて利用されます。

  1. 見た目の美しさを追求し、金属光沢や高級感を演出します。
  2. 腐食から守り大気中の腐食環境に耐える性能を提供します。
  3. 摩擦や研磨による表面の消耗を防ぎ、製品の寿命を保ちます。
  4. 光の反射を防ぎ、まぶしさを防ぐ特性で、カメラや光学機械、自動車の外装品に使用されます。

ブラックメッキの種類には、黒色無電解ニッケルメッキ、黒色ニッケルメッキ、黒色クロムメッキ、黒色アルマイト、亜鉛メッキ(黒色クロメート)、ルテニウムメッキ(黒)、イオンプレーティング(黒)、DLCなどがあります。

それぞれ異なる特性や用途を持ち、金属製品の外観や性能の向上に貢献します。

当社ではこれらの黒色メッキ以外にもマットブラックメッキという処理をご用意致しております。マットブラックメッキは艶のない黒色皮膜で、特に反射防止に優れた皮膜です。

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