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2020.12.01

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【メッキのプロ直伝】JIS規格H8645無電解ニッケルメッキの品質をチェック!

1.JIS規格とは?



JISとはそもそも何?

JIS規格とは、「日本産業規格」の意味。

「JIS」は「Japanese Industrial Standards」の略です。

日本規格協会による「JISとは?」はこちら。


日本の産業製品に関する規格や測定法などが定められたもののことです。

JIS規格では、次のことを目的として一定の基準が定められています。

  1. 経済・社会活動の利便性の確保(互換性の確保等)
  2. 生産の効率化(品種削減を通じての量産化等)
  3. 公正性を確保(消費者の利益の確保、取引の単純化等)
  4. 技術進歩の促進(新しい知識の創造や新技術の開発・普及の支援等)
  5. 安全や健康の保持
  6. 環境の保全等

2.JISはなぜあるの?

産業標準化法に基づいて制定される国家規格として、生産におけるコストの低減、取引の単純公正化使用・消費の合理化などに重要な役割を果たすために必要です。

企業側が一定のルールのもとに製品の品質を守ってくれるなら、発注側も安心して依頼できます。JIS規格にのっとっているということであれば、一定の信頼ができるでしょう。

また、日本の製品の品質をしっかり保てば、全体として日本の業界の品質が国際的にも認められるということにもつながります。国際規格(ISO)というのもあり、JISのように一定の品質を保つための世界基準の規格です。

3. メッキとJIS

メッキの場合は、外観や膜厚など項目が細かく分かれて、一定の品質を守るための規定がされています。

JIS規格で定められているメッキ一覧

現在、JIS規格および対応国際規格に規定されているメッキ種および後処理は、無電解ニッケルメッキも含めて15種類となっています(※2016年時点)。電気亜鉛めっきや工業用クロムメッキ、装飾用の金メッキなどさまざまなメッキについて規定されています。

実は発注もJISで決められている

実は発注についても、JISで定められています。JIS規格では、発注者側は「発注に当たって部品設計とともに発注書またはめっき加工仕様書に次の基本事項を記載しなければならない」としています。

  1. 素地材料の性質、状態および仕上がり
  2. めっきの記号
  3. めっきの有効面
  4. めっきの外観
  5. 許容できるめっき表面の欠陥の種類、大きさ、範囲および場所
  6. 後処理(防錆処理)の有無
  7. 密着性と密着試験方法
  8. 必要とするめっき品質とその試験方法
  9. めっき前後の熱処理
  10. めっきされた部品に対する特別な包装の必要条件
  11. その他、特別な前後処理および制限

※ これら基本事項については、受渡当事者間の協定によって省略してもよいとされています。

使用環境条件の程度を示す等級

JISやISOでは、使用環境条件の程度を示す等級も定められています。

ISO国際規格

  • 等級4:極めて過酷な環境下で使用する
  • 等級3:激しい環境下で使用する
  • 等級2:普通の環境下で使用する
  • 等級1:穏やかな環境下で使用する

  • 使用環境A:腐食性の強い屋外環境下(海浜、工業地域など)
  • 使用環境B:通常の屋外環境下(田園、住宅地域など)
  • 使用環境C:湿度の高い屋内環境下(浴室、厨房など)
  • 使用環境D:通常の屋内環境下(住宅、事務所など)

4. 無電解ニッケルメッキのJIS規格

無電解ニッケルメッキは、JIS H8645により、鉄や鋼および非鉄金属素地上に防食性・耐摩耗性などの目的で施した有効面の無電解ニッケル-リンメッキについて規定されています。

等級と最小厚さ

等級およびメッキの最小厚さについては下記をご参照ください。

記号

JIS H0404にて規定されています。左から順に次のようになっています。

メッキを表す記号―素地の種類を表す記号―メッキの種類を表す記号―
メッキの厚さを表す記号―メッキのタイプを表す記号―後処理を表す記号:使用環境を表す記号

【例】無電解ニッケル-リンメッキ(素地:アルミニウム合金、3µm、通常の屋内環境)
Elp-Al/Ni-P3/D

メッキの記号表記について、詳しくはこちらをご確認ください。

5. 無電解ニッケルメッキの品質確認・検査方法



無電解ニッケルメッキの品質については次の11の項目があります。

① メッキの外観
② めっき皮膜の化学成分
③ めっきの表面粗さ
④ めっきの最小厚さ
⑤ めっきの硬さ
⑥ めっきの密着性
⑦ めっきの多孔性
⑧ 素地の腐食防止
⑨ めっき皮膜の耐食性
⑩ めっきの耐摩耗性
⑪ めっきのはんだ濡れ性
① メッキの外観
外観試験によって試験を行い、表面は平滑で、ピット・膨れ・剥離・割れ・素地または下地めっきの露出、その他使用上有害な欠陥があってはならない。
② めっき皮膜の化学成分
分析試験によって試験を行い、規定の化学成分表(表2)に適合しなければならない。

③ めっきの表面粗さ
粗さ試験によって試験を行い、その値は受渡当事者間の協定による。
④ めっきの最小厚さ
厚さ試験によって試験を行い、等級表に適合しなければならない。

⑤ めっきの硬さ
硬さ試験によって試験を行い、ビッカース硬さ500以上、ヌープ硬さ450以上とする。
なお、附属書7にビッカース硬さ600〜1000とすることができる熱処理条件を示す。
(備考:試料のめっき厚さは50µm以上とする)
⑥ めっきの密着性
密着性試験によって試験を行い、めっきの剥離または膨れがあってはならない。
⑦ めっきの多孔性
多孔性試験によって試験を行い、その品質は受渡当事者間の協定による。
⑧ 素地の腐食防止
耐食性試験によって試験を行い、その品質は受渡当事者間の協定による。
⑨ めっき皮膜の耐食性
めっき後処理を行った後、耐食性試験によって試験を行い、JIS H8502に規定するレイティングナンバーで9以上でなければならない。
⑩ めっきの耐摩耗性
耐摩耗性試験によって試験を行い、その評価方法は受渡当事者間の協定による。
(備考:試料のめっき厚さは20µm以上とする)
⑪ めっきのはんだ濡れ性
はんだ濡れ性試験によって試験を行い、浸漬した部分は均一にぬれており、はんだの表面は平坦でこぶがあってはならない。
(備考:試験後、密着性試験のうち曲げ試験を行い、はんだがうろこ状にとんだり剥離があってはならない)

詳しくは こちらでも解説しております。

6. 無電解ニッケルメッキの検査項目、どこに着目すべき?

無電解ニッケルメッキの品質検査については、特に次の3つを確認することが重要です。

1 膜厚
2 密着性
3 耐食性

耐食性は無電解ニッケルメッキの用途として特に多い要素となります。耐食性を用途とする場合、その試験方法や試験結果をしっかり確認しましょう。

7. 耐食性の検査方法とは?

中性塩水噴霧試験法

無電解ニッケルメッキの耐食性の検査方法として、中性塩水噴霧試験法があります。主な試験条件は【JIS H 8502】によって規定されています。

塩水噴霧試験とは、塩水噴霧試験装置を使用して塩化ナトリウムを噴霧した霧が自然落下する雰囲気において試料を放置し、一定時間後の腐食状態を調べる試験方法です。

無電解ニッケルメッキを施すと耐食性が強くなることが、この塩水噴霧試験により実証されています。

  • サンプルは2つとも無電解ニッケル皮膜をほどこした素材
  • 左側:膜厚 3µm / 右側:膜厚 5µm
  • 塩水噴霧 8時間後:膜厚3µmではやや白錆が発生
  • 塩水噴霧 24時間後:どちらにも若干の錆があるが、膜厚5µmの方がサビの発生が少ない

酢酸塩水噴霧試験

酢酸酸性の塩水を噴霧することで耐食性を調べる試験です。pH3.1〜3.3で塩水噴霧試験を行います(pH以外は中性塩水噴霧試験に準じる)。

キャス試験(CASS試験)

銅塩の添加で腐食作用を促進した酢酸酸性の塩水を噴霧することで耐食性を調べる試験です(pH3.0〜3.2、50±5℃)。
※ 最終がクロムめっきの製品に適用されます。

フェロキシル試験(有孔度試験・青色斑点)

鉄素地上の銅-ニッケル、ニッケル-クロム、銅-ニッケル-クロムの耐食性試験です。判定方法はレイティングナンバー(腐食面積により1〜10で表す。10が耐食性が良い)にて表しています。

詳しくは こちらをご確認ください。

8. まとめ

JIS規格にのっとった検査・品質確認が重要です。JIS規格は、経済社会活動の利便性確保のほか、生産におけるコストの低減、取引の単純公正化、使用・消費の合理化などに重要な役割を果たします。

  • ・JIS規格にのっとった検査をしているか確認しましょう
  • ・JIS規格にのっとった検査・品質確認をしてくれる業者に発注しましょう
  • ・無電解ニッケルメッキの発注もJISで定められているので、規格に沿って発注するとスムーズです
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