NEWS

News

情報発信

TOP

情報発信

2020.09.23

ブログ

【メッキのプロ直伝】無電解ニッケルメッキを選ぶ理由は1つではなかった。その特徴とは?

無電解ニッケルメッキは、耐食性や表面硬度を上げることができ、膜厚の均一性、メッキできる素材の幅が広いなどさまざまな機能特性を持っています。そのため、自動車・機械・電気・電子機器、半導体・精密機器と多くの産業分野で必要不可欠な機能メッキとして普及しています。

近年、精密機器などで需要が高まり、年々増加傾向にある無電解ニッケルメッキ処理ですが、そもそもこの無電解ニッケルメッキの特徴ってどのようなものなのでしょうか?代表的な特徴とともにご紹介します。

1.無電解ニッケルメッキとは?



一般的に「無電解ニッケル―リンメッキ(無電解Ni-P)」を指します。これはひと口に無電解ニッケルメッキと言っても、使用する還元剤の種類によって違いがあるからです。還元剤とは、メッキを析出させるためのものです。

無電解ニッケルメッキは次の3種類があります。

・無電解Ni-P(次亜リン酸塩)

・無電解Ni-B(ホウ素化合物)

・無電解Ni(ヒドラジン)

工業的に最も多く使用されているのが、無電解Ni-Pです。

還元剤として、次亜リン酸ソーダを用い、メッキ膜には約10%のリンが含まれます。

無電解ニッケルメッキの仕組み

では、もう少し具体的に解説していきましょう。そもそもの無電解ニッケルメッキの仕組み、メカニズムとは?どうなっているのか、なぜメッキができるのか、詳しくご紹介します。

無電解メッキは、酸化反応によって供給される電子を使うメッキ方法で、被メッキ物の表面で酸化反応と還元反応が繰り返され、電子のやり取りによりメッキ反応が行われます。

電気を使わない無電解メッキの方法には2種類あり、置換型と触媒型があります。無電解ニッケルメッキは触媒型でメッキされます。

触媒型は、メッキ溶液中に還元剤を入れ、触媒によってこの還元剤を酸化させ、出てきた電子が溶液中のメッキ金属イオンと結びつくことでメッキします。溶液中の金属イオンが還元剤の酸化反応で放出される電子によって還元され、金属膜が析出するのです。

自己触媒作用によって、メッキ反応が継続されるため厚付けが可能になります。

メッキ液には、主成分として金属塩と還元剤、補助的成分として錯化剤、緩衝剤、pH調整剤、促進剤、光沢剤、安定剤、改良剤から構成されています。

無電解ニッケルメッキの歴史

こうした無電解ニッケルメッキという画期的な処理方法は、そもそもいつからなされたのでしょうか?無電解ニッケルメッキの歴史を簡単にみていきます。

無電解ニッケルメッキは、1946年にアメリカのブレンナー博士らによって偶然に発明され、その後、実用化の研究を行い、工業化に成功しました。

別名「カニゼンメッキ」とも言われる無電解ニッケルメッキですが、それは社名に由来しています。

無電解ニッケルメッキは1950年代に、特許「KANIZEN(カニゼン)プロセス」として登録され、日本では1957年に日本カニゼン(株)が設立され、その翌年から生産が開始されました。

電解ニッケルメッキと無電解ニッケルメッキ

「無電解」があれば、「電解」もあります。

電解ニッケルメッキは、対象となる素材を通電させることでメッキを析出します。一方、無電解ニッケルメッキは、還元剤を溶解させることで素材の表面にニッケルを析出させてメッキを施します。

実は、この無電解ということが次に挙げる特徴をもたらす要因となっているのです。

2.無電解ニッケルメッキの特徴5つ

無電解ニッケルメッキには次の5つの特徴があります。

1.膜厚が均一

2.どんな形状にもメッキが可能

3.耐食性に優れている

4.表面硬度を上げられる・耐摩耗性に優れる

5.さまざまな素材にメッキできる

6.ハンダ付けが可能

7. RoHS指令に抵触しない

順に解説していきます。

2.1.膜厚が均一

まずメッキの膜厚が均一であることがあげられます。電解ニッケルメッキでは、通電させることにより通電しやすい箇所と通電しにくい箇所が生じ、そのことでメッキの膜厚に違いが出てきてしまいます。

しかし、無電解ニッケルメッキでは、還元剤を使うことで電気を通さないため、そうした違いが出にくく、均一な膜厚を実現しやすくなります。

こうした特性があることで、被覆物の表面に均一な保護層を形成し、一貫性のある性能を提供できるのです。

2.2.複雑な形状にもメッキが可能

また、どんな複雑な形状にもメッキができるという利点があります。均一な膜厚で対象物全体をメッキできるということで、複雑な形状を持つ素材にもメッキが可能です。

弊社の無電解ニッケルメッキの処理技術は、寸法精度が非常に高く、1㎛単位の膜厚を調整することができます。

2.3.耐食性に優れている

無電解ニッケルメッキは、被覆物を酸や塩、湿気などの環境から保護し、耐食性を向上させる効果があります。

これは、無電解ニッケルメッキの膜厚が均一であることにも起因しています。なぜなら、均一な膜厚で緻密にメッキできることで、被膜上の欠陥となるピンホールがなく、腐食・酸化を防ぐことができるからです。

金属は通常の環境に置いておくだけで、酸や湿気といった影響を受けやすく、結果として腐食が起きてしまいます。その原因は、金属が酸の環境にあると、金属物質と水素イオンが反応してしまうからです。

金属が腐食する原因については、こちらで詳しく解説しております。

しかし、無電解ニッケルメッキを施せば、耐食性のある素材に変わり、さまざまな用途に使用することができるのです。

例えば、ステンレスを使うと、耐食性はありますが、非常に高価なためコストがかかります。しかし、比較的安価な鉄材・アルミ材に無電解ニッケルメッキをすることで、耐食性を向上しつつ、低コストも実現できます。

塩素やフッ素といったハロゲン系ガスにも耐えることができ、さらに次の薬品に対する耐薬品性も持ち合わせています。

・二硫化炭素

・炭酸ナトリウム

・水酸化ナトリウム

・ガソリン

・ベンゾール

・アセチレン

・アセトン

・メチルアルコール

・グリセリン

・ホウ酸

・アルカリ性洗浄剤

・クロロフォルム

・アクリルクロライド

・塩化アルミ

・塩素ガス(乾)

・ジクロロベンゼン(水分なし)

・四塩化炭素(水分なし)

2.4.表面硬度を上げることができる・耐摩耗性を高める

無電解ニッケルメッキは、被覆物の表面硬度を向上させることができます。これにより、摩耗や傷への抵抗力が向上し、耐久性が向上します。

無電解ニッケルメッキを施した素材の表面は非常に硬くなり、衝撃や摩耗にも強くなります。例えば、アルミニウム素材に無電解ニッケルメッキをすれば、非常に軽量という素材の利点を生かしつつ、衝撃や摩耗に弱いという弱点をカバーし、長く使用することが可能です。

2.5.さまざまな素材にメッキできる

無電解メッキということで通電しないため、金属素材のみならず、樹脂やプラスチックなどさまざまな素材へのメッキが可能です。具体的には次の素材へのメッキが可能です。

・アルミニウム

・鉄系

・銅合金

・チタン

・樹脂材料

・セラミックス など

当社では、その他の材料でもご要望に応じて対応しておりますので、ご相談ください。

2.6.ハンダ付けが可能

無電解ニッケルメッキは、ハンダ付けが可能です。そのため、電子部品や電子基盤などハンダ付け(接合)が必要な用途において、無電解ニッケルメッキが非常に有効となります。

また、無電解ニッケルメッキにおいては、メッキ膜に含まれるリン濃度を変えることができるのですが、特に低濃度のリンにおいて、ハンダ付けが良好な状態となります。

濃度による違いについては、後述します。

2.7.RoHS指令に抵触しない

「RoHS」とは、正式名称で「Restriction of Hazardous Substances」のことです。

日本語で言うと、電気・電子機器に含まれる特定有害物質の使用制限に関する欧州議会及び理事会指令

特定有害化学物質の使用制限を目的とし、EU域内で基準値を超えた電気・電子機器の販売を規制する指令ということになります。

簡潔に説明すれば、ヨーロッパ諸国が加盟するEU域内では、鉛をはじめとした特定有害化学物質への使用規制が厳しいという現状があります。こうした有害が認められる化学物質を製造・開発などの過程で使用した電気・電子機器の販売を規制する指令があるということです。

そのため、このRoHS指令に抵触してしまうと、EU加盟国での使用が難しくなりますので製品に使用するということが避けられる傾向があります。このRoHS指令に抵触するかどうかが、製品の流通・販売にも大きく関与しているということです。

その点、無電解ニッケルメッキは、特定有害化学物質の使用規制の範囲外であり、RoHS指令に抵触しないことから、安心して使用していただくことができます。

RoHS指令のほか、さまざまな環境指令があり、弊社ではそれらの規制を遵守することを第一にメッキ加工を行っております。環境指令について、こちらでまとめておりますので、ご確認ください。

3.無電解ニッケルメッキのリン濃度の違いによる特徴は?

無電解ニッケルメッキの特徴として、上記の8つを挙げましたが、先述したように実際にはメッキ膜に含まれるリン濃度の違いによって、さらにその特性は変わってきます。

リン濃度による特性の違いは、以下の通りです。


リン濃度が高い場合は、低リンと比べて硬度(析出状態)がより高くなり、耐食性も良好となっています。ただし、熱処理後の硬度は、低リンにおいてもHv930と、高リンHv950に近い状態に上げることが可能です。

一方で、低リンの場合は、ハンダ付け性(接合性)が中リンや高リンと比べて良好という特性があります。そのため、低リンは半導体製造装置におけるプリント基板などさまざまな用途への活用が可能です。

上記の表のうち、代表的な特性とその特性を生かした用途は、次のようになっています。


※磁性は析出状態。熱処理後、中リンは磁性〇です。

用途に応じて、リン濃度を変えることが可能ですので、ご検討の際には用途やさまざまなご要望をお気軽にご相談ください。

4.無電解ニッケルメッキのさまざまな用途

膜厚が均一、どんな形状にもメッキが可能、耐食性に優れている、耐摩耗性に優れている、さらにさまざまな素材にメッキできるなどといった素材にメリットをもたらす無電解ニッケルメッキ。どんな用途で使われており、どんな悩みに対してカバーし、サポートできるのか、ご紹介します。

無電解ニッケルメッキの用途は次のようになっています。


弊社では、半導体製造装置向けに

「無電解ニッケルめっき+精密洗浄(クリーンルームクラス1000)から梱包まで」

対応可能です。

5.無電解ニッケルメッキの特徴まとめ

本記事では、無電解ニッケルメッキの代表的な特徴を7つ挙げさせていただきました。無電解ニッケルメッキの特徴としては、以下のようなものがあり、

・膜厚が均一

・どんな形状にもメッキが可能

・耐食性に優れている

・表面硬度を上げられる・耐摩耗性に優れている

・さまざまな素材にメッキできる

・ハンダ付けが可能(接合性が強い)

・RoHS指令に抵触しない

非常に有益なメリットをもたらすため、さまざまな金属素材の弱点をカバーし、サポートしてくれるという強みがあります。

ー代表的な特徴だけでない、コネクションの無電解ニッケルメッキの特徴

さらに、弊社ではその特性の強化や改善に努めております。具体的なその特性は次の通りです。

1.優れた耐酸性

2.はがれにくいメッキ皮膜

3.緻密なメッキ皮膜

4.選択肢の多さでさまざまなご要望に対応

弊社の無電解ニッケルメッキは、特にアルミニウム素材に強いです。軽量でさまざまな用途に優れたアルミニウム素材の保護や導電性の向上をサポートしております。無電解ニッケルメッキをすることで、軽量であるという強みを守りつつ、酸化・腐食・摩耗などに弱いといったアルミニウムの弱みを改善します。

優れた耐酸性

弊社の無電解ニッケルメッキは、耐塩水噴霧試験において1,000時間という非常に耐酸性に優れた結果を持っており、耐酸性に強い自信があります。

はがれにくいメッキ皮膜

特殊な前処理を行うことで、アルミニウムの素材表面を清浄化し、はがれにくいメッキを施します。

緻密なメッキ皮膜

腐食因子が素地へ到達し、素地を腐食させるのを防ぐために、メッキ皮膜の緻密さが重要となります。緻密であり、さらにメッキ表面から素地に至るまでの間にピンホール(欠陥)が少ないほど、アルミニウム素材を腐食から守るバリヤーとして高い効果を発揮します。弊社の無電解ニッケルメッキは、緻密なメッキ皮膜でピンホールの少ない特徴があります。

選択肢の多さでさまざまなご要望に対応

無電解ニッケルリンだけでも3種(低、中、高)、無電解ニッケルーホウ素、テフロン無電解複合メッキ(6種)、Ni-P-W、Ni-P-SiC、黒色無電解ニッケルなど様々選択肢があります。

そのため、ただひとえに無電解ニッケルメッキをしてほしい、という内容であっても使用する製品の環境や企業様のご要望に合わせた対応が可能です。

弊社では、お客様のどんなお悩みに対しても誠実にお応えし、確かなメッキ技術で対応しております。

・金属が酸化してしまう

・アルミニウムの軽量性を生かしながら、摩耗性に耐えうる加工がほしい

・メッキがはがれてしまっている

などさまざまなお困りの方、あるいは相談したいなど

お気軽にお問い合わせください。

PDFを開く