【装飾メッキの傾向】
鉄素材に銅メッキ、ニッケルメッキ、クロムメッキの積層もしくは、ニッケルメッキ上にクロムメッキを施す装飾メッキが一般的に用いられていますが、自動車のバンパーにメッキが施されなくなったように、装飾メッキの需要が減少しています。
装飾メッキが減少にある原因としては次のようなことが考えられます。
素材の変更(SUSなど素材のまま使用に変更)
表面処理の変更(メッキから塗装やその他の表面処理に変更)
好みの変化(光沢のある外観からマットな外観や黒色など好みの変化)
最近特に顕著であり、自動車部品、弱電部品、室内装飾品などで従来の装飾メッキが敬遠されはじめております。
自動車業界の装飾メッキへの要望としては次のような事が要望されています。
各種色調が得られ、外装にも使用できること。
幅広い素材に適用できること。
低コスト化など。
最近の傾向は次のような事が挙げられます。
他人が持っていない物を持つという個別化、差別化傾向。
機能を買うのではなく、雰囲気を買うという情緒化傾向。
シャーベットトーン、中間色、渋い落ち着いた色調を好む。
このような傾向をまとめますと多品種少量、バリエーションの豊富さが求められていると思います。
このような事から従来の、銅メッキ、ニッケルメッキ、クロムメッキなどの積層メッキでの装飾メッキでは対応できなくなって来ております。
装飾メッキの多様化
装飾を目的としたメッキ製品はその使用目的、使用環境によって様々なメッキが施されています。
下地のメッキ、中間のメッキ、仕上げのメッキなどを変えることにより、目的に応じた耐食性や外観など多様化に対応しております。
様々な製品の装飾メッキ
カラーメッキ
カラーメッキとしては様々な製品の装飾メッキ(上記表)のように色合いで分類できます。クロム色系のメッキ皮膜は耐食性が優れています。
銀色系、金色系、黒色系、古美色系などはクリアコーティングして利用されています。
単一の金属メッキだけでなく、合金メッキが装飾メッキに幅広く使われるようになりました。
装飾メッキに使われる合金メッキ
装飾向け合金メッキ
装飾向け合金メッキとしては、古くからシアン化物浴による黄銅メッキ(金メッキの代替メッキ)が多く用いられています。
製品の多様化により、多くの合金メッキが採用されるようになってきました。下地のメッキと仕上げのメッキを組み合わせることにより、外観の異った表面が得られ、製品の多様化を実現できます。
合金メッキの耐食性
室内で用いる製品で、色彩の多様化の要望から合金メッキが多く用いられるようになってきましたが、皮膜の耐食性について塩水噴霧試験、キャス試験、人工汗(酸性及びアルカリ性)試験、耐指紋試験などにより評価した結果、各合金メッキでクロメート処理しないものは耐食性が悪い結果となったが、浸漬クロメート処理、電解クロメート処理を行うことで耐食性が飛躍的に向上することから、合金メッキに対して浸漬クロメートや電解クロメートを施すことが必要です。
中間層のメッキ
中間層のメッキと仕上げメッキを組み合わせると外観がかなり違った感じの製品が得られます。
例えば光沢ニッケルメッキ上にスズ-ニッケル合金メッキを施した外観と、ビロード状ニッケルメッキ上にスズ-ニッケル合金メッキを施した外観では全く違ったものになります。
したがって、現在用いられている中間層のメッキと仕上げメッキを巧みに組み合わせて、新しい感覚の製品が得られる可能性があります。
実際に、梨地上に合金メッキされた製品が従来のニッケル-クロムメッキに代わり使用されています。
ノーレベリングニッケルメッキ
素材にヘアーライン加工したり、梨地加工した製品に通常の光沢ニッケルメッキを施すと、光沢ニッケルメッキのレベリング作用によりヘアーライン、梨地が消えてしまい加工した効果がありません。
そこで、光沢ニッケルメッキに代わってノーレベリングニッケルメッキが用い要られております。
ビロード状ニッケルメッキ
通常のニッケルメッキ浴に50℃付近で曇る特性を持つ界面活性剤を添加すると、ニッケルメッキの作業温度で界面活性剤が分解し、メッキ液中に分散しメッキ皮膜と共に析出し、非常に微細な梨地、ビロード状の外観を持つメッキ皮膜が得られます。
最近光沢面より渋い色調が好まれるようになり、ベロアニッケルやパールニッケルなどの商品名で呼ばれ多く用いられるようになってきております。
複合ニッケルメッキ
ニッケルメッキ浴中にアルミナ、シリコンカーバイドなどの粒子を懸濁させて、ニッケルメッキ皮膜を梨地状にする方法で、装飾メッキとしてはサチライトニッケルという商品名のメッキが多く用いられています。
懸濁させる非電導性の粒子の大きさによっても、得られる外観が異なるので、適当な大きさの粒子を用いる必要があります。
また、蛍光染料をメッキ液中に添加して、蛍光を発するメッキの研究も発表されていますが、実用化するためには問題点があり、実用化技術の開発が待たれています。
耐摩耗性、離型性など機能的な性質を持つメッキ皮膜として、今後大いに期待されています。
メッキ皮膜上への塗装
塗装は多彩な色調を出せることから、金属表面上の保護皮膜と装飾の目的で多く使用されています。しかしながら、金属表面に塗装した場合、金属表面独特の金属光沢が得られないなどデメリットがあります。
また、メッキすると外層のメッキにより色合いが決められ、多彩な色調は出しにくいといったデメリットがございます。
そこで、メッキと電着塗装と組み合わせると金属光沢を持ち、かつ多彩な色調が得られます。
電着塗装はアニオン系、カチオン系があり、メッキ皮膜上の電着塗装はメッキ皮膜の特長と塗膜の特長を兼ね備えた方法であるため、今後多くなることが予測されます。
選択メッキ、部分メッキなどへの適用も期待されています。
まとめ
装飾メッキ製品の外観に対するニーズは、さらに多様化してきました。
市場や消費者の要求に応じた色調、表面状態の合金メッキを開発、実用化することが必要です。
さらにこれからは、下地メッキ、合金メッキ、そして塗装技術を巧みに組み合わせ、様々な表面処理プロセスを展開し、多品種の製品への対応が要望されるようになると思われます。
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