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スズー鉛合金めっき(半田めっき) 2-1 ほうふっ化浴 2-2 有機酸浴
スズめっき
スズは比較的柔らかく、展延性に富み融点の低い(231.9℃)金属です。
スズは人体に対する毒性が少ないので、食器そのものや食器のメッキに使用されています。鉄板上のスズメッキはブリキ板と呼ばれ、缶詰の容器に使用されています。
また、はんだ付け性に優れているため、電気接点、端子、コネクター、プリント基板、リードフレームなどにスズメッキが利用されています。
スズは鉄に対して陰極として作用するので、ピンホールが多いスズメッキでは鉄素地に対する防錆効果は期待できません。
また、電気メッキのようなスズの薄膜からはウィスカー(whisker)と呼ばれるスズの針状単結晶が発生しやすいので、精密な電気回路などに用いる場合は、回路の短絡を防止するためにリフロー処理などの後処理や、鉛を共析させたハンダメッキに変えるなどの対策が必要です。
硫酸浴
最も多く使用されている浴で無光沢~光沢メッキを得ることが可能です。
アルカリ浴に比べて2倍以上の析出速度が得られますが、不溶性の4価のスズが生成し易いので温度(25℃以下)管理が重要です。
アルカリ浴
ナトリウム浴とカリウム浴があり、カリウム浴の方が電流効率が良く作業範囲が広い。
また、遊離アルカリを適正に管理する必要。光沢メッキは得られない。
中性浴
酸やアルカリに侵されやすい素材(チップ抵抗やチップコンデンサーなど)のスズメッキに使用されています。PH 調整した有機酸浴やピロリン酸浴があります。
スズ-鉛合金メッキ(半田メッキ)
スズメッキにはウィスカー(whisker)と呼ばれるスズの針状単結晶が発生しやすいが、鉛を共析させることで発生を防ぐことができます。
また、共析の比率を変えることによって融点を変化させることができるので、用途によって鉛を5~95%共析させた半田メッキがリードフレーム、コネクターやプリント基板などのめっきに多く使われていましたが、はんだに含まれている鉛は人体に有害であり、RoHS指令等の規制に抵触することから鉛の代わりに銀、ビスマス、アンチモン、亜鉛などの金属をスズに対して単独もしくは複数共析させるメッキ液の開発が行われています。
半田はスズと鉛の合金であり、スズ60:鉛40 の共晶はんだをはじめ、スズ90:鉛10やスズ80:鉛20 のようにスズに特性を近づけたメッキがプリント基板をはじめとする電気電子機器部品に利用されています。
また、軸受用としてスズを減らし、鉛を増やした浴も実用化されています。
はんだメッキ浴には、ほうふっ化浴、有機酸浴の2種類が主として使用されていますが、ふっ素やほう素の規制が厳しくなっている今日では有機酸浴が主流になっています。
ほうふっ化浴(スズ60%:鉛40%)
浴の安定性やメッキ皮膜の物性は最も良いがほう素及びふっ素による環境汚染の可能性および排水処理の難しさにより需要は滅少しています。
有機酸浴(アルカノールスルホン酸、メタンスルホン酸等)
ふっ素やほう素を含まないので排液処理がほうふっ酸浴に比べて容易であり、需要が大幅に伸びているが経費が高くつく欠点があります。
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【著者のプロフィール】
1996年、福井工業大学附属福井高等学校を卒業後、地元のメッキ専門業者に入社、製造部門を4年経験後に技術部門へ異動になり、携帯電話の部品へのメッキ処理の試作から量産立ち上げに携わる。
30歳を目前に転職し別のメッキ専門業者に首席研究員して入社。メッキ処理の新規開発や量産化、生産ラインの管理、ISO9001管理責任者などを担当。
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