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【メッキ技能士直伝】メッキ液中のゴミはどのように綺麗に保つのか?

更新日:5月31日

めっきとは各種金属材料の表面にめっき液中の金属を析出させる事で、その目的に応じて装飾めっき、防食めっき、工業用めっき、機能めっきなどに分類されます。


めっきの対象物も鉄や鋼、銅や銅合金などの金属が主流でしたが、最近では金属意外にも軽量化やその他の要求に応じてセラミックス、ABSやPCなどのプラスチック、アルミニウムやマグネシウム合金などにもめっきが必要とされ施す事が増えてきております。


対象物の変化に伴いめっき工程は複雑化し、使用される薬品も複雑になっております。


めっき液や前処理液などに関しても管理が厳しく管理する必要があり、液の濃度管理はもちろんですが、液の清浄化も重要なポイントとなっており、クリーンルームなどの中でメッキ処理が必要な高度な用途も増えてきております。


その中で、液の清浄化として重要な濾過について解説して行きます。


濾過とは何か?

コーヒーを濾過している

濾過とは液中および気体中に存在する固形物を媒体を使用し分離する方法です。


濾過は古くから行われており、当初は搾るといった方法が用いられておりましたが、ポンプなどによる加圧力、減圧力、遠心力といった圧力を利用するようになりました。

濾過に使用される材料も素焼きの筒などから金属の網や織り布、不織布に変わり、最近ではポリエステル(PE)やポリプロピレン(PP)、テフロン(PTFE)などの素材を用いた膜、金属酸化物で作られたセラミックスなどが用いられるようになってきました。


濾過の歴史

日本ではめっき液の濾過を戦後の初めまでは行われておらず、メッキ液中には酸化物やゴミなどが多く含まれている状態でめっき処理が施されており、めっき後製品の光沢性や異物付着を取り除くためにバフ研磨が行われておりました。


一方海外ではこの時期すでにめっき後のバフ研磨なしで、品質の良いめっき製品が普及しており、品質の維持・確保のために濾過が必要と判断され1951年頃にニッケルメッキ槽に濾過機が導入されはじめました。


その後は急速に発展し、現在はほとんどのめっき液や前処理液で濾過機が利用されるようになっております。


めっき液の管理と濾過の必要性

めっき液には主成分の金属意外に光沢剤やその他の補足として各種添加剤が加えられています。

めっき作業を行うことにより、薬品濃度が低下するとともにめっき液の中で化学変化などが起こり添加剤の分解による不純物や、空気中の埃やゴミなどの不純物がメッキ液を汚染し、めっき表面の異物付着(ザラブツ)、ピット(貫通していない小さな穴)、ピンホール(巨視的な穴)など製品不良の原因となります。


これらの原因となる固形物を濾過して常にメッキ液を清浄な状態に保つ事がメッキ品質の維持に不可欠です。


濾過方法

  1. カートリッジ濾材濾過法

  2. 濾布濾過タイプ

  3. プリコート濾過タイプなどがあります。


カートリッジ濾材には糸巻き式、メルトブロー式・メンブラン濾紙の3種類あり、要求精度によって使い分けを行います。


プリコート濾過法は環境にやさしい、環境汚染物質の元となる物質の廃棄が少ないなど環境負荷の削減という利点がありますが、濾過開始前にプリコート層を形成させる必要がある事から手間が掛かる方法となります。


まとめ

めっき液の濾過を行うようになって半世紀以上が経過し、濾過設備や濾過の技術は大きく進歩しました。

めっき製品の高い品質や機能性が求められるようになり、めっき液並びに前処理液の濾過は液の品質および製品の品質維持するために不可欠となり、昼夜連続濾過運転が行われるようになっております。


一方で連続的に濾過運転を行うことで様々なトラブルが発生するリスクが出てきております。これらのトラブルを防止するために濾過機の管理基準を設けるなどの対策が重要です。


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【著者のプロフィール】

代表取締役

1996年、福井工業大学附属福井高等学校を卒業後、地元のメッキ専門業者に入社、製造部門を4年経験後に技術部門へ異動になり、携帯電話の部品へのメッキ処理の試作から量産立ち上げに携わる。

30歳を目前に転職し別のメッキ専門業者に首席研究員して入社。メッキ処理の新規開発や量産化、生産ラインの管理、ISO9001管理責任者などを担当。






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