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【メッキ技能士直伝】錫メッキの融点、皮膜硬度、メリットデメリットを詳しく解説

錫メッキという用語を聞いたことがあるかもしれませんが、あなたは錫メッキの融点が何度であるかご存知でしょうか?


錫メッキの融点は231.9℃と低いため、ロウ付けやハンダ付け性に優れたメッキ皮膜です。他にもさまざまな分野で広く利用されている錫メッキ、この記事では、錫メッキの特徴や利点について詳しく説明します。


ハンダ付け


■INDEX■




 

1.メッキとは

メッキとは、金属イオンを還元して基材に金属を被覆させる技術です。

電気で金属イオンを還元するメッキを電気メッキと呼び、電気を使わずに還元するメッキを無電解メッキと呼びます。(溶融金属に基材を浸漬して被覆するメッキも無電解メッキに含まれます。)


錫メッキには電気メッキ、無電解メッキ共にありますが、一般的な電気メッキについてご説明します。



2.電気錫メッキとは

電気錫メッキ(でんきすずめっき、英: Electroplating Tin)は、金属の表面に錫(スズ)をめっきする技術です。

基材に陰極の電流を流す事で、電解液中にある錫の陽イオンは電流の作用により基材表面に析出されます。


電気メッキの種類は無光沢錫メッキと光沢錫メッキに分類され、無光沢錫メッキの外観は銀白色〜灰色を有します。光沢錫メッキは銀色の鏡面を有する外観になります。


無光沢錫メッキと光沢錫メッキには外観の違い以外にも特性にも違いがあります。

特性の違いについてご紹介します。


2.1.皮膜の硬さ

メッキ皮膜をビッカース硬度で比較した場合、同じ錫メッキですが無光沢の錫メッキ、光沢錫メッキで皮膜の硬さに違いがあります。

メッキの種類

皮膜の硬さ(HV)

アルカリ錫メッキ

3〜4

無光沢錫メッキ

5〜7

半光沢錫メッキ

14〜16

光沢錫メッキ

40〜60

非常に柔らかいイメージのあるアルミニウムですが、アルミニウム(A7000系:超々ジュラルミン)の硬度がHV150程度です。錫メッキは柔らかいイメージのあるアルミニウムよりも柔らかい皮膜です。


めっき皮膜の硬さ測定には一般的にビッカース硬さ試験が使われます。ビッカース硬さ試験とは、試験片に四角すい形状のダイヤモンド圧子を押込み、その時できるくぼみの対角線長さから硬さを求める試験方法で数値が小さくなるほど皮膜が柔らかくなります。


3.錫メッキの融点

錫メッキの融点は231.9℃で、比較的低い温度で溶ける性質を持ち、はんだ付けや電子部品製造などで重要な役割を果たします。


家電や電子部品の部品実装は、出来る限り低い温度での実装が理想です。

錫メッキの融点は231.9℃と非常に融点が低いため、低温で可能なため、耐熱性が低い部品に対して実装可能です。


4.錫メッキの利用と応用

錫メッキは銀白色の美しい色調を持つ上に、耐食性にも優れ、毒性が無いので食器の表面処理にも適しています。

鉄を腐食から守り、溶質した錫も無害である事から缶詰の材料として利用されています。


その他の利用方法として電子部品の半田付け、接触端子部品や機械の摺動部、窒化防止用のメッキとして用いられています。


5.まとめ

メッキとは、金属イオンを還元して基材に金属を被覆させる技術です。

電気メッキと無電解メッキの2つの主要な方法があり、電気メッキは電流を使用し、無電解メッキは化学反応を利用して金属被覆を行います。

電気錫メッキは金属の表面に錫(スズ)をめっきする技術で、基材に電流を流すことで錫の陽イオンが基材表面に析出します。電気錫メッキには光沢錫メッキと無光沢錫メッキがあり、外観に差があります。 無光沢錫メッキは銀白色からグレー色の外観に、光沢錫メッキは鏡面の銀色の外観を持ちます。

これらのメッキの特性には、皮膜の硬いさと融点に違いがあります。皮膜の硬さはビッカース硬度で測定され、光沢のある錫メッキが最も硬くなりますがそれでもHV40〜60とアルミニウムよりも柔らかい皮膜になります。


融点は231.9℃と低温で溶ける性質を持ち、はんだ付けや部品のロウ付けに適しています。 錫メッキは美しい色調を持ち、耐食性に優れ、無害であるため、食器の表面処理や缶詰の材料として利用されます。また、電子部品の半田付け、接触部品、機械の摺動部、付着防止この技術は様々な産業分野で重要な役割を果たしており、特に低温での実装が必要な場面で優れた選択肢となっています。 当社、株式会社コネクションでは光沢錫メッキを主に対応しております。

また、錫メッキの剥離に関しても随時対応しておりますので、錫メッキの剥離、ハンダメッキの剥離、その他錫合金メッキの剥離だけの対応につきましてもお気軽にご相談ください。



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【著者のプロフィール】

代表取締役

1996年、福井工業大学附属福井高等学校を卒業後、地元のメッキ専門業者に入社、 製造部門を4年経験後に技術部門へ異動になり、携帯電話の部品へのメッキ処理の試作から量産立ち上げに携わる。

30歳を目前に転職し別のメッキ専門業者に首席研究員して入社。 メッキ処理の新規開発や量産化、生産ラインの管理、ISO9001管理責任者などを担当。




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