JIS H0400は電気メッキ及び関連処理において用いられる主な用語及びその定義について規定します。
用語の分類(電気めっき及び関連処理用語は、次の8部門に分類する。)
a. 一般
b. 処理剤及び設備器具
c. 研磨及び前処理
d. めっき処理
e. 後処理
f. 関連表面処理
g. 排水処理
h. 試験及び検査
用語及び定義
用語及び定義は次のとおりとする。
備考 2つ以上の用語を並べてある場合は、その順位に従って使用する。
番号 | 用語 | 定義 |
1065 | レベリング 平滑性 | 素地の微視的な凹凸や、研磨の条こんなどを平滑化するめっき浴の能力。平滑化作用ともいう。 |
1066 | 均一電着性 マクロスローイングパワー | 厚さが均一にめっきされるめっき浴の能力 |
1067 | 微視的均一電着性 ミクロスローイングパワー | 一定条件のもとで穴とか狭い溝にも十分めっきさせ得るめっき浴の能力 |
1068 | めっき分布 金属分布比 | 陰極上の二つの特定面積上で析出した電着金属の厚さの割合 |
1069 | 不動態 | 化学的又は電気化学的に溶解若しくは反応が停止するような金属の特殊な表面状態 |
1070 | 不動態化 | 金属表面を不動態にすること |
1071 | 活性化 | a)表面の化学的反応を高めるため、表面の不動態を破壊する処理 b)非電導性素地に金属を析出させる工程で、表面に触媒金属を吸着させる処理 |
1072 | 光沢電気めっき | めっきした状態で鏡のような高い反射率を持つ電着物を生成させる方法 |
1073 | 光沢電気めっき範囲 | 所定の作業条件の下で光沢電気めっきが得られる電流密度の範囲 |
1074 | 光沢浸漬法 | 金属表面を種々な組成の溶液中に短時間浸漬して光沢面とする法法。 参考 キリンス仕上げなどがある。 |
1075 | 化学光沢処理 | アルミニウム及びその合金を溶液中に浸漬して光沢面にする方法 参考 英国で使用されている用語 |
1076 | 水素ぜい性 | 前処理及びめっき処理の過程で被めっき物が水素を吸蔵して延性又はじん性が低下する現象 |
1077 | 電着応力 | 電着によって皮膜に発生する引っ張り又は圧縮の内部応力 |
1078 | 表面張力 | 互いに接する2相の界面においてそれらの2相の接触面積を減少する向きに作用する力 |
1079 | アニーリング | 成形による歪み除去又は密着性改善のために一定の温度でする加熱処理 |
1080 | pH | 水素イオン濃度の逆数の対数 参考 溶液の酸度又はアルカリ度を表すためなどに用いる |
1081 | アノード腐食 | 電解槽中及び大気中で、陽極金属が電気化学的に溶解する現象 |
1082 | カソード防食 | 流電陽極又は外部電源を用いて金属体を陰極として通電し、腐食を防止する方法 |
1083 | 犠牲防食 | より卑な金属を電気的に接触させ、腐食させることによって金属を保護する操作 |
1084 | バレル法 | 品物を回転容器の中に入れて、機械的、化学的または電解的に処理する方法の総称 |
1085 | 電鋳法 | 電気めっき法による金属製品の製造、補修または複製法 |
1086 | 置換反応 | ある化合物に含まれる原子または原子団を、他の原子または原子団に置き換える反応 |
1087 | イオン交換 | 塩類水溶液中である種の物質中のイオンが液中のイオンと交換される現象 |
1088 | ウイスカ | 単結晶の微小金属繊維成長物 参考 貯蔵中若しくは使用中、自然に生成し、またはめっき処理中の生成することがある。すずめっきなどに生成しやすい |
1089 | めっきの種類 | めっきに用いる金属及び合金の種類によって分類されるめっき |
1090 | めっきの構成 | 多層めっきを組み立てている一連のめっきの種類の順序 |
1091 | めっきのタイプ | 同一種類のめっきにおいて、性質、形態、方法などを異にするめっき |
1092 | めっきの有効面 | 表面処理の用途上で重要な面 |
1093 | 使用環境 | 装飾、防食などのめっきにおいて、めっきを施した製品が使用される環境で、直接または間接にその製品に影響を及ぼす周囲の雰囲気 |
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【著者のプロフィール】
1996年、福井工業大学附属福井高等学校を卒業後、地元のメッキ専門業者に入社、 製造部門を4年経験後に技術部門へ異動になり、携帯電話の部品へのメッキ処理の試作から量産立ち上げに携わる。
30歳を目前に転職し別のメッキ専門業者に首席研究員して入社。 メッキ処理の新規開発や量産化、生産ラインの管理、ISO9001管理責任者などを担当。
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