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【メッキ技能士直伝】黒色ニッケルメッキの奥深き世界:電解と無電解、光吸収のメカニズム

  • 執筆者の写真: connectionfukui
    connectionfukui
  • 3月25日
  • 読了時間: 11分

更新日:3月27日

メッキは、素材の表面に金属の薄膜を形成する技術です。これにより、素材に新たな機能性や装飾性を付与できます。金メッキや銀メッキのように、その美しい光沢を活かして製品の美観を高める目的でも広く利用されています。


一方で、メッキには表面を黒くする「黒色メッキ処理」という技術も存在します。本記事では、黒色めっき処理の中でも代表的な「黒色電解ニッケルメッキ」と「黒色無電解ニッケルメッキ」に焦点を当て、そのプロセスや性質の違いについて詳しく解説します。


■INDEX■


1.1. 電解メッキ

1.2. 無電解メッキ

2.1. 黒色めっき処理とは

2.2. 黒色化の目的

3.1. 黒色電解ニッケルメッキの特徴

3.2. 黒色電解ニッケルメッキのプロセス

3.3. 黒色電解ニッケルメッキの用途

4.1. 黒色無電解ニッケルメッキの特徴

4.2. 黒色無電解ニッケルメッキのプロセス

4.3. 黒色無電解ニッケルメッキの用途


 

1. メッキとは

1.1. 電解メッキ


「めっき」とは、製品の素材表面に金属の薄い皮膜を付着させる技術です。めっき処理を行うことで、素材に耐食性、耐摩耗性、導電性などの機能性を付与したり、意匠性を高めたりすることができます。


めっき処理は、大きく分けて「電解めっき」と「無電解めっき」の2つのプロセスに分類されます。


「電解めっき」とは、電解液中で素材を陰極、金属を陽極として電流を流し、電気化学反応によって金属皮膜を素材表面に析出させる方法です。例えば、電解ニッケルめっきの場合、ニッケルを含む水溶液に素材を浸し、電流を流すことでニッケルの皮膜を形成します。皮膜の厚さは、電流密度や処理時間によって制御可能です。ただし、電解めっきは導電性のある素材にしか適用できません。電解めっきは、「電気めっき」とも呼ばれます。


1.2. 無電解メッキ


「無電解めっき」とは、電気を使用せずに金属皮膜を形成するめっき方法です。


電極を使用せず、めっき液中に素材を浸漬することで、素材表面で化学反応を起こし、金属皮膜を析出させます。この際、素材自体が触媒として機能し、めっき液中の金属イオンが還元されて素材表面に付着します。


例えば、無電解ニッケルめっきの場合、ニッケルを含むめっき液に素材を浸漬するだけで、素材表面にニッケルの皮膜が形成されます。皮膜の厚さは、浸漬時間によって制御可能です。


無電解めっきは、導電性の有無に関わらず、様々な素材に適用できるという利点があります。また、複雑な形状の素材に対しても均一な皮膜を形成できるため、精密部品などにも利用されます。


2. 黒色めっき処理

2.1. 黒色めっき処理とは


めっき処理を行うと、基本的には皮膜を形成する金属の色が表面に現れます。例えば、ニッケルめっきの場合、黄褐色がかった銀色の外観となります。しかし、製品によっては、めっき皮膜を黒色にしたいという要望があります。


このような要望に応えるために行われるのが、「黒色めっき処理」です。黒色めっき処理には、素材や目的によって様々な種類があり、黒色クロムめっき、黒色クロメート、黒色アルマイト、黒染め、黒色電解ニッケルめっき、黒色無電解ニッケルめっきなどが挙げられます。


本記事では、これらの黒色めっき処理の中から、黒色電解ニッケルめっきと黒色無電解ニッケルめっきに焦点を当て、その特徴や処理プロセスについて詳しく解説します。どちらもニッケル系の金属皮膜をベースとしていますが、黒色化のプロセスや皮膜の性質は大きく異なります。


2.2. 黒色化の目的


素材表面を黒色皮膜で覆う処理には、明確な理由があります。


まず、意匠的な理由として、他の部品や背景との調和を図るために、部品自体を黒色にする必要がある場合があります。このような場合、黒色皮膜処理は最適な選択肢となります。


また、光学的な理由も重要です。黒色は光を吸収し、反射を抑制する性質があります。そのため、カメラやプロジェクターなどの光学部品では、黒色めっき処理によって光の反射を抑え、光学的な影響を最小限に抑える必要があります。


さらに、放熱性を高める目的で黒色めっきが用いられることもあります。黒色は熱吸収率が高いため、放熱効果が期待できます。



3. 黒色電解ニッケルメッキ

3.1. 黒色電解ニッケルメッキの特徴


代表的な黒色めっきの一つである黒色電解ニッケルめっきについて説明します。


黒色電解ニッケルめっきは、めっき皮膜自体が黒色を呈するめっき処理です。つまり、めっき皮膜の析出時点で黒色となります。ただし、純粋な黒色ではなく、ガンメタリック調の濃い灰色に近い色合いです。

黒色電解ニッケルめっきは、「ニッケル」と銘打っていますが、実際にはニッケルとスズ、または銅の合金皮膜を形成します。


ニッケルスズ合金めっきは、黒色であるため光の反射を抑制する効果があります。また、耐食性、耐変色性、耐熱性に優れるほか、はんだ付け性にも優れている点が特徴です。

一方、ニッケル銅合金めっきは、優れた耐食性を持つことで知られています。


3.2. 黒色電解ニッケルメッキのプロセス


黒色電解ニッケルめっきの工程は、以下の通りです。

  1. 脱脂:素材表面の油分や汚れを除去します。

  2. 酸浸漬:素材表面の酸化膜を除去し、めっきの密着性を高めます。

  3. 電解脱脂:素材表面に残った汚れや不純物を電気分解によって除去します。

  4. 黒色ニッケルめっき:めっき液中で素材を陰極、陽極をニッケルまたはスズ、銅として電流を流し、合金皮膜を形成します。


電解めっき処理の時点で、素材表面には黒色の合金皮膜が形成されます。


3.3. 黒色電解ニッケルメッキの用途


黒色電解ニッケルめっきのうち、ニッケルスズ合金めっきは、はんだ付け性に優れるため、主に電子部品に用いられます。具体的には、スマートフォン、デジタルカメラ、車載機器、携帯基地局などの通信制御に内蔵される電子チップ部品などが挙げられます。


一方、ニッケル銅合金めっきは、自動車部品や建材への適用が多く見られます。

いずれのめっきも、黒色であることから、意匠性を高める目的で用いられることがあります。



4. 黒色無電解ニッケルメッキ

4.1. 黒色無電解ニッケルメッキの特徴


黒色無電解ニッケルめっきは、黒色化のプロセスおよび皮膜の性質が電解ニッケルめっきとは異なります。


表面に光沢のある素材に対して黒色無電解ニッケルめっきを施すと、深みのある黒色が得られます。ただし、この黒色はめっき皮膜の析出時点で生成されるものではありません。黒色無電解ニッケルめっきは、通常の無電解ニッケルめっきと同様に皮膜を析出させた後、後処理によって黒色化を行います。


皮膜の性質は、黒色であることを除けば、通常の無電解ニッケルめっきとほぼ同様です。通常の無電解ニッケルめっき皮膜は、耐食性に優れた保護膜で覆われているため、高い耐食性と硬度を持つことで知られています。ただし、犠牲防食の性質は有していません。


また、無電解ニッケルめっきは皮膜が均一に析出するため、複雑な形状の素材にも均一なめっきが可能です。


4.2. 黒色無電解ニッケルメッキのプロセス


黒色無電解ニッケルめっきは、素材の種類によって異なるプロセスで処理されます。


鉄素材の場合

  1. 脱脂:素材表面の油分や汚れを除去します。

  2. 電解脱脂:電解液中で電気分解によって素材表面の油分や汚れを除去します。

  3. 酸洗い:素材表面の酸化膜を除去し、めっきの密着性を高めます。

  4. 無電解ニッケルめっき:めっき液中で化学反応によってニッケル皮膜を形成します。

  5. 黒色化処理:硝酸、塩酸、硫酸などの薬品を用いてめっき皮膜表面を酸化させ、黒色化します。


アルミニウム素材の場合

  1. 脱脂:素材表面の油分や汚れを除去します。

  2. エッチング:アルミニウム表面を溶解し、表面を粗くすることでめっきの密着性を高めます。

  3. スマット除去:エッチング後に残ったスマット(溶解残留物)を除去します。

  4. ジンケート処理:アルミニウム表面に亜鉛の薄膜を形成し、めっきの密着性を高めます。

  5. 無電解ニッケルめっき:めっき液中で化学反応によってニッケル皮膜を形成します。

  6. 酸化処理:硝酸、塩酸、硫酸などの薬品を用いてめっき皮膜表面を酸化させ、黒色化します。


鉄素材、アルミニウム素材ともに、無電解ニッケルめっき処理までは通常の無電解ニッケルめっきと同様の処理を行います。重要なのは、その後の酸化処理であり、これによって皮膜が黒色化します。


酸化処理では、硝酸、塩酸、硫酸などの薬品を用いて皮膜表面を酸化させます。この処理によって、皮膜表面に微細な凹凸が形成され、光の反射が減少することで黒色化が実現します。


4.3. 黒色無電解ニッケルメッキの用途


黒色無電解ニッケルめっきは、光学部品、レンズホルダー、医療機器、半導体関連装置などに広く用いられています。また、機械部品や自動車部品、ソーラー部品などにも利用されています。


これは、黒色無電解ニッケルめっきが持つ優れた耐食性、耐摩耗性、光吸収性などが、これらの製品の性能向上に貢献するためです。



5. 光の吸収と黒の実現


黒色は光を吸収する性質を持つため、光が反射せずに吸収されると、その表面は黒く見えます。黒色めっきは、この光の性質を利用して黒色を実現します。また、この性質を利用して、光学部品などに応用することも可能です。


一方で、めっき処理の前に行われるブラスト処理は、研磨剤を素材表面に吹き付け、錆や汚れを除去する表面処理です。ブラスト処理により、素材表面に微細な凹凸が形成され、光が乱反射することでつや消し効果が得られます。


しかしながら、ブラスト処理を行った素材に黒色めっきを施すと、光の乱反射の影響で灰色に近い色合いになることがあります。これは、以下の理由によります。


  • 光の乱反射:ブラスト処理によって形成された微細な凹凸が、入射した光を様々な方向に散乱させます。黒色めっきは光を吸収する性質を持ちますが、乱反射した光の一部が私たちの目に届くため、完全な黒色ではなく灰色に見えてしまいます。


  • 表面粗さと色調:ブラスト処理による表面粗さが大きいほど、乱反射する光の量が増え、灰色味が強くなります。表面粗さが小さい場合は、比較的黒色に近い色合いになりますが、光沢のある黒色とは異なります。


これは、凹凸のあるアスファルトが、晴れた日には光を乱反射して灰色に見え、雨が降ると水の膜によって表面が平滑になり黒く見える現象と似ています。


つまり、黒色の表現は、素材表面の状態によって大きく左右されるということです。



6. まとめ

この記事では、素材表面に金属薄膜を形成するめっき技術のうち、特に黒色めっき処理に焦点を当て、以下の内容を解説しました。


1. めっきの基本:電解めっきと無電解めっき

  • めっきは、素材に機能性や装飾性を付与する技術。

  • 電解めっきは電気化学反応を利用し、導電性素材に適用。

  • 無電解めっきは化学反応を利用し、非導電性素材や複雑形状にも適用可能。

2. 黒色めっき処理:機能性と意匠性の両立

  • 黒色めっき処理は、素材表面を黒色化する技術。

  • 意匠性や光学特性、放熱性向上などの目的で利用。

  • 黒色電解ニッケルめっきと黒色無電解ニッケルめっきが代表的。

3. 黒色電解ニッケルめっき:合金皮膜による黒色化

  • ニッケルとスズまたは銅の合金皮膜を形成し、黒色化。

  • ガンメタリック調の黒色で、耐食性、耐変色性、耐熱性、はんだ付け性に優れる。

  • 電子部品や自動車部品、建材などに利用。

4. 黒色無電解ニッケルめっき:酸化処理による深黒色化

  • 無電解ニッケルめっき後、酸化処理で黒色化。

  • 深みのある黒色で、高耐食性、高硬度。

  • 光学部品、医療機器、半導体関連装置などに利用。

5. 光の吸収と黒の実現:表面状態の影響

  • 黒色は光を吸収する性質を利用。

  • ブラスト処理など表面粗さのある素材では、光の乱反射で灰色に見える。

  • 表面状態が黒色表現に大きく影響。

まとめ

黒色めっき処理は、電解と無電解でプロセスや皮膜特性が異なり、用途に応じて選択されます。表面状態も仕上がりに影響するため、考慮が必要です。



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1996年、福井工業大学附属福井高等学校を卒業後、地元のメッキ専門業者に入社、製造部門を4年経験後に技術部門へ異動になり、携帯電話の部品へのメッキ処理の試作から量産立ち上げに携わる。

30歳を目前に転職し別のメッキ専門業者に首席研究員して入社。メッキ処理の新規開発や量産化、生産ラインの管理、ISO9001管理責任者などを担当。




 
 
 

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