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【メッキ技能士直伝】金属の寿命を延ばす!防錆メッキの基本と応用

更新日:8月20日

防錆メッキは、金属の表面に薄い金属層を形成することで、腐食や酸化から基材を保護する技術です。金属製品の耐久性を高め、美観を保つために非常に重要な役割を果たしています。以下、防錆メッキについての詳細を説明します。


■INDEX■


  1. 防錆メッキの原理


  2. サビとは


  3. 腐食について


  4. 腐食に有効なメッキ処理

    4.1無電解ニッケルメッキ

    4.2硬質クロムメッキ

    4.3亜鉛メッキ

  5. まとめ


 

1.防錆メッキの原理

防錆メッキは、金属の表面に保護層を施すことで、外部の環境から金属を遮断し、腐食やサビの進行を防ぎます。この保護層は、金属基材と腐食因子(酸素や水分)との直接接触を阻止することで、化学反応の進行を遅らせる役割を果たします。メッキ層には電気伝導性や耐食性、硬度などの特性があり、製品の使用環境や用途に応じて適切なメッキ方法が選ばれます。



2.サビとは

サビとは、金属が酸素や水分と反応することで生じる酸化物や水酸化物のことを指します。特に鉄においては、酸化鉄が形成され、これが一般的に「サビ」と呼ばれています。サビは金属の表面に形成されるだけでなく、内部まで進行することがあり、金属の強度や耐久性を著しく低下させる原因となります。


金属が腐食し、さびることは地球の大気に金属がさらされていれば必ず起こる現象です。

交通機関や工業設備の腐食対策や腐食して劣化した金属部品の交換には毎年多大なコストが掛かるため、適切な防錆対策が必要となります。



3.腐食について

鉄は鉱石として酸化物(Fe₂O₃)、水酸化物(Fe(OH)₃)、硫化物(FeS₂)などの形で天然に存在し、精錬技術により、単体の鉄を取り出して利用しています。鉄で存在するよりも酸化物や水酸化物として存在する方が安定しており、鉄を空気中に放置すると、自然に空気中の酸素や水と結合して酸化物や水酸化物などに変化します。この現象を腐食と呼びます。


腐食は、金属がその環境中で化学反応を起こし、物質として劣化していく現象です。腐食の原因は、酸素、水分、塩分、化学物質など多岐にわたり、それぞれの環境条件によって異なるタイプの腐食が発生します。たとえば、塩水環境下では塩分による腐食が進みやすく、湿度の高い環境では湿気による腐食が促進されます。腐食は金属の機械的性質を損なうだけでなく、漏れや破損などの重大なトラブルを引き起こす可能性があるため、防止策が必要です。


大気中には水蒸気と酸素、窒素のほか、硫黄、二酸化硫黄、窒素酸化物、炭酸ガスなどのガスが存在し、これらが腐食の要因となります。


​4.腐食に有効なめっき処理

腐食を防ぐために有効な方法の一つが、めっき処理です。めっきは、金属表面に薄い金属膜を形成することで、基材を腐食から保護します。めっき処理にはさまざまな種類があり、それぞれの用途や環境条件に適したものが選ばれます。

無電解ニッケルメッキ(electroless plating)は、ニッケルベースの皮膜に数%のリンを含むニッケルーリン合金を形成します。電気メッキで得られるニッケルメッキ皮膜に比べて硬く、耐食性に優れています。


ニッケルメッキは酸やアルカリに対して強い耐性を持ち、腐食環境においても長期間にわたり製品を保護します。無電解ニッケルメッキは、均一な膜厚を実現できるため、複雑な形状の部品にも適しています。


硬質クロムメッキ(工業用クロムメッキ)皮膜は、青みがかった美しい銀白色の色調を持つ皮膜で、大気中で非常に優れた耐食性を持っています。


クロムメッキは、高い耐腐食性と装飾性を兼ね備えたメッキ処理であり、クロムの硬質な被膜が基材をしっかりと保護し、同時に光沢のある美しい外観を提供します。


亜鉛メッキは、鉄鋼製品に対する最も一般的な防錆処理の一つです。亜鉛は犠牲陽極として作用し、基材である鉄よりも先に酸化することで、鉄の腐食を防ぎます。亜鉛メッキは、特に屋外や湿気の多い環境で使用される製品に適しています。



5.まとめ

防錆メッキは、金属の腐食を防ぎ、製品の寿命を延ばすために欠かせない技術です。サビや腐食を防ぐために、無電解ニッケルメッキ、硬質クロムメッキ、亜鉛メッキなどのメッキ処理が効果的であり、それぞれの特性に応じて適切な処理を選択することが重要です。適切な防錆メッキを施すことで、金属製品の耐久性を向上させ、長期間にわたって高い品質を維持することが可能となります。


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【著者のプロフィール】

代表取締役

1996年、福井工業大学附属福井高等学校を卒業後、地元のメッキ専門業者に入社、製造部門を4年経験後に技術部門へ異動になり、携帯電話の部品へのメッキ処理の試作から量産立ち上げに携わる。

30歳を目前に転職し別のメッキ専門業者に首席研究員して入社。メッキ処理の新規開発や量産化、生産ラインの管理、ISO9001管理責任者などを担当。




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