アルミニウム陽極酸化(通称アルマイト)の着色方法(原理)って...
アルミニウム陽極酸化(通称アルマイト)の着色方法(原理)って...その前に、アルミニウム陽極酸化処理(アルマイト)を施す事ができるのは、アルミニウム素材のみ限定の処理となります。鉄素材、SUS素材、銅素材やプラスチック材料などには施す事ができずアルミニウムにしかできない処理です。
ですので、アルミニウム素材について少しご説明をさせて頂きます。
アルミニウム素材の特徴とは
アルミニウムの比重が鉄、銅の約1/3と非常に軽い。
アルミニウム合金化で強比度が大きくなる。(アルミニウム以外の成分銅、マグネシウム、けい素など混ぜて合金化することで強くなります。)
アルミニウム素材表面に緻密な酸化皮膜が形成されることで腐食から守られます。
アルミニウム素材への加工が容易で、複雑な形状に加工が可能です。
自動車産業、工作機械、半導体関連などいろいろな分野で軽量化の要求が高まる中で、アルミニウム素材は非常に有効な材料なのですが、柔らかく、強アルカリ・強酸性の環境下では耐食性が悪い(両性金属)などデメリットがある材料です。
これらアルミニウム素材のデメリットを表面処理を行う事で補い、いろいろな特性を持たせる事でアルミニウム素材本来の特性をいかしつつ、硬度、耐食性、外観(意匠性)、絶縁性などの高付加価値を持たせる事が可能です。
アルミニウム素材に硬度、耐食性、外観(意匠性)、絶縁性などの特性を持たせる事ができる表面処理がアルミニウムの陽極酸化(通称アルマイト)になります。
アルミニウムの陽極酸化処理(通称アルマイト処理)とは
アルミニウム陽極酸化処理(通称アルマイト)とは、アルミニウムを陽極(+極)で電解処理することで、人工的に酸化皮膜(Al2O3)を生成させる表面処理です。
アルミニウムの陽極酸化皮膜(通称アルマイト)は、日本が誇る世界的な技術で、電解液の種類・濃度・温度・電流密度などの電解条件などでシルバー、ゴールド、黒など意匠性の表現や(発色・着色)、表面を硬くすることで耐摩耗性などを付与させることで付加価値を持たせる事ができます。
アルミニウム陽極酸化処理(通称アルマイト)は、アルミニウムを陽極として硫酸やシュウ酸、クロム酸などの電解液中で電解することで表面に厚い酸化皮膜(Al2O3)が生成されます。これをアルミニウムの陽極酸化皮膜(アルマイト)と呼んでいます。
アルミニウムの陽極酸化(アルマイト)はアルミニウム素材にしか処理ができませんが、装飾、防食、耐摩耗など色々な付加価値をアルミニウム素材に持たせる事ができます。
アルミニウムの陽極酸化処理の装飾目的、防食目的の場合には5~10μm程度、アルミニウムの陽極酸化処理の耐摩耗性を目的とする場合には10~100μmまで処理を施す場合がございます。
アルミニウムの陽極酸化皮膜は耐食性に優れているだけではなく、電気絶縁体であることや、硬度が高く耐摩耗性に優れた特徴があります。
アルミニウムの陽極酸化でどうやって色がつけられるのか??
アルミニウムの陽極酸化皮膜(アルマイト皮膜)はハニカム構造(蜂の巣)に皮膜が成長します。
このハニカム構造に成長したアルミニウムの陽極酸化皮膜(アルマイト皮膜)の中心にポアと呼ばれる微細な孔が形成されます。
ハニカム構造の中心に形成されたポア(微細な孔)に染料を浸透させます。
それだけでは色が抜けてしまうのですが、着色処理後に封孔処理と呼ばれる工程を行う事で、アルミニウムの陽極酸化皮膜に形成されたポアと呼ばれる微細な孔を水和物で塞ぐ事で着色料が抜けないようになります。
アルミニウムの陽極酸化皮膜(アルマイト)のポア内に染料を封じ込めることでカラーを表現することが出来るのです。
皮膜内部に封じ込めた染料ですが、なぜカラーアルマイトとして目視できるのか??
アルミニウムの陽極酸化(アルマイト)皮膜は透明な皮膜で、この透明なアルミニウムの陽極酸化皮膜を通し、皮膜の中にある染料をみてるのです。
ということは、塗装のように表層に色があるわけではないため、表面が削られても色が剥げない、なおかつアルミニウムの陽極酸化は金属質感の外観ですので、金属質感のあるカラーリングを表現することが可能です。
まとめ アルミニウム陽極酸化(通称アルマイト)
アルミニウム陽極酸化(通称アルマイト)の着色方法(原理)についてまとめますと、アルミニウム陽極酸化処理(通称アルマイト)の着色方法は、アルミニウムを陽極(+極)で電解処理することで人工的に酸化皮膜(Al2O3)が形成されます。
人工的に形成されたアルミニウムの酸化皮膜はハニカム構造をしており、ハニカム構造の酸化皮膜中心に微細な孔(ポア)が形成されます。
この微細な孔(ポア)の中に染料もしくは顔料など目的の色を入れ、この染料もしくは顔料を封じ込める事で着色する方法です。
本来であれば顔料のほうが耐光性など紫外線に対して色の退色などが起こりづらいため、
着色料として顔料を使用したい所ではあるのですが、顔料が粒子サイズが大きく、微細なポアに入れる事が困難なため、一般的に染料による着色が普及しております。
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