
クラックの無い硬質クロムめっき
硬質クロムめっきは、ビッカース硬さ750以上の強靭な皮膜を持ち、優れた耐摩耗性・耐食性を発揮することで、過酷な環境下でも部品の長寿命化に貢献します。
しかし、光学フィルム製造ロール、フラットパネルディスプレイ用導光板、高精度レンズ金型、反射用ミラーといった、極めて高い精度が要求される製品においては、従来の硬質クロムめっきでは避けられない微細なクラック(割れ)の発生が、製品の品質に悪影響を及ぼす要因となっていました。そこで、独自の皮膜応力抑制技術を用いたクラックのないクロムめっき技術の導入により、この課題を克服し、従来はクラックの影響で使用が困難であった、より精密な加工が求められる分野への適用も可能となりました。
ノンクラック硬質クロムで得られる特性
平滑な表面を実現
クラックによる凹凸がなくなり、極めて平滑な表面を実現。これにより、導光板の光拡散性の向上、レンズ金型の転写精度向上、ミラーの反射率向上、ロールの均一な加飾、そして光学フィルムの均一な膜厚制御など、製品の品質を飛躍的に高めます。
付着物(オリゴマー)の付着とビルドアップ(堆積)の抑制
クラックは異物が付着しやすい箇所ですが、クラックがなくなることで異物付着を抑制し、製品の歩留まりを向上させます。特に光学フィルム製造ロールにおいては、異物付着によるフィルムの欠陥を大幅に低減します。
光学フィルム製造ロールの転写性の向上
光学フィルム製造ロールや金型の表面にクラックがないため、微細なパターンや形状を正確に転写できます。これにより、高精細なディスプレイやレンズ、光学フィルムの微細なパターン形成を実現します。
欠陥の無い皮膜で耐久性向上
クラックは腐食や摩耗の起点となりますが、クラックがなくなることで耐久性が向上し、金型やロールの寿命を延ばします。特に光学フィルム製造ロールにおいては、長期間安定した品質での生産を可能にします。
硬質クロムとノンクラック硬質クロムの断面
一般的な硬質クロム断面

ノンクラック硬質クロム断面
